ONGOING
CORRESPONDENCE

アーティストの往復書簡
 

東京インディペンデント展は、ふたりのアーティストの対話からはじまりました。対話は、旅をしながら、あるいは仕事をしながら交わされる手紙へと場所を移して、今も続いています。これらの往復書簡から、この展覧会を支えている精神を感じてもらうことを望み、ここに紹介します。

新しい手紙が届くたびに更新します。

2019年1月6日 曽根裕→保科豊巳

 

保科さんへ

 

 このように混乱した、先の見えない国際社会において、人生にとくに最終的な目的があるわけではない。

 そして、そのある長さをもった時間のなかで、芸術家が創作的行為をはじめるのはいつも、本人の意志によってであり、その創作の完了も本人の意志によってである。

 到来する共同体のサンプルとしての東京インデペンデント2019展は無審査による発表形態を持ちながら行われる展覧会である。

 つまりそれは一つのアイディアで集団がつくられるのではないもの。自主自律したものたちが、それぞれの有り様のもとで、かけがえのない友人たちと、そしてまだ出会っていない友人たちと芸術の展覧会をとおして共立することである。


2019年1月6日

曽根裕 

 

1月7日 トミー・シモンズ→保科豊巳

 

保科豊巳様

ところで、わたしは保科さんの作品群をみて、こんかいの展覧会のタイトルを、Tokyo Fire Departmentとしたらよいとおもったのですがどうでしょうか?
 

2019年1月7日

トミー シモンズ、アントワープにて


 

1月9日 保科豊巳→トミー・シモンズ


トミーさんへ

 

消防署は火を消すための機関であり炎は燃えないで鎮火してしまいます。

炎上は美しいものであり、本能を呼び覚ますものです。

時代を変えるといっただいそれたことではなく。美しいものを見ようと思っています。この美しいものが、時代を変えていくのです。

 

​2019年1月9日

保科豊巳

 

1月9日 曽根裕→保科豊巳


保科さんへ

 

わたしは感動し、石器時代にいきました。昨年書いた文章ですので、交換書簡として読んでください
 

【石器時代の最後の夜】
 

ただただ暗い夜の無限に続く繰り返し、ただただいきるためのほうほうだけがえらばれた。

石や鳥や動物や川、それを取り巻く風景と自分のくべつがなされる、そういったことがおこるずっとまえの話だ。

わたしは、仲間がならすおとのこうずいのなかにいる。なんにんまわりにいるのだろうか、どこからかあつまってきた、みたこともないようなかずの仲間たち、この中に敵が紛れ込んでいるのではとおもっているのは、このおとのなかで、小心もののわたしだけかもしれない。なんにちこのさわぎがつづいているのか、きっとづーっとだ。

わたしたちは、かなりおおくのことをしっていて、まだ知らないことがあるのを知らなかった。木や草、山や、周りの生き物に名前がついていたのだから、ことばは、その名前だけをさけぶことになる。名前の中にすべてのそれに関係のあるイメージがあるのだから、それいがいのことばはとてもすくなかった。または、ほとんどなかった、心に残る感動さえも選ばれた単語つまりひとつの名詞、またはその連続と連続する回数でかんじょうをひょうげんしあった。詩人は複数の単語を織り交ぜて使い、それでとても音感がよかったので、みながそれをまねし、そしてたのしかった。

わたしたちは、私たちの仲間でないものたちに出会うとその敵を殺す、またはころされる。仲間内でもその感覚の違いでけんかになったときは、相手を殺す。でないと私たちはころあいてにころされてしまうのだ。

普段は、わたしたちは、それぞれ2−3家族ごとに洞穴にわかれてすんでいる。しかしわたしが物心ついたときすでに、このながい祭りがはじまっていたので、わたしにはふだんの生活を送る経験をしたことわまだない。わたしたちが、このまつりで、いま何を達成しようとしているのかだれもしらなかった。

わたしたちのかぞくは、ただひたすら、この何年にもわたるまつりのなかで、火を消さないように燃えるものをちょうたつしてまわった。最初の何年かは、ちかくに森がありそこで木を調達できた。しかしもう何年もまえにその森はすべて、燃やしてしまったのでいまは2日かけて歩いて行った先のもりからもえるものをさがさなくてはならなかった。

わたしたちのかぞくは、22にんぐらいで、兄弟も父も母もおなじなまえだった、しかし常にそこに横たわる美しい背景がことなることから、わたしたちは、それぞれをうまく呼び合い、わかりあっていた。

ただ、家族といえども黒曜石が採れる場所は秘密だった。黒曜石だけでなくたいらにはがれるするどいいしは、たいした苦労もかけづにそのまま道具として使えるし、武器としてもつかえるからだ。

たいていのころしあいは、もっともっとかんたんなやりかたで、そこらへんの石を拾い上げてそれで殴りあう、ときにはなげつけるといったほうほうがとられた。生きているほとんどすべての人間が殺しのけいけんがあった。だからいきていた。

しかし、いまこの祭りの中では、わたしたちは、そういった、不満やイライラから始まるけんかはまったくしなかった。あさもひるもよるもおとがなり、だれかが、歌いだれかがおどった。朝、太陽があがるとき、大きな山の影がわたしたちのばしょをよぎっていく。そのとき、わたしたちはうまれかわるのだから、生まれ変わるためのおんがくをうたった。夜がくるときは、すべてがしにゆくわけだから、そのためのうたをうたった。

まだ死と恐怖がむすびつくまえわたしたちだった。恐怖はあったし、喜びもあった。悲しみはとてもたいへんたいへん高級なかんじょうだったので、それを表現するには詩人をよばなければならなかった。

さて、この祭りはなんのためのものなのか、だれもしらなかった、しかしわれわれという集団はそれがなんのためにおこなわれるのかしっていたようなきがする。なぜなら、それにしては、継続的で、確信にみちた音楽がつづいているわけだから。

(つづく)2015年10月1日

2019年1月9日

曽根裕

 

2月9日 保科豊巳→曽根裕

 

曽根さん

 

忙しくて返信遅れました。

石器時代の話とても面白い寓話です、

わたしも田舎育ちで幼い頃、山の中を駆けずり回っていました。

最近は作品を作っていると何故だか、幼い頃の体験が無性に私の現在に関わっていたように感じます、

とても気になるのは確か小学生に上がったかその頃に大きな台風がありました、私の家は洪水で畳の上まで浸水したのです、

夜中のことでした、村中にリン リン リン、と 半鐘が突然鳴り響き、嵐が木をゆする音や、叩きつける雨の音、私の家の横に大きな川が流れていたため川いっぱいに濁流が増水し

石や倒された大木が流されて石にあたる響くような重い音やらが混ざって全ての世界の者たちが地の底から吠えるような、やがて堤防は欠壊し私の家を襲ったのです、何が何だか空恐ろしい夜でした。

しかし幼い私にはその騒ぎがそれがとても心地よく母親の胎内にいるような何たら暖かく、楽しく感じられたのです。

突然の洪水の侵入に父や母は大騒_ぎです、ところが、そこに、この濁流のどさくさに紛れてとても楽しい友達が入ってきたのです、濁流で膝まで浸かった畳の部屋にとても大きくすばしこいスピードで何かが足にまとわりついた。

私は一瞬でそれな何だかわかりました。その動きな私にとって生きていることの鮮烈で新鮮な感覚でした。私はそのおおきな鯉を追いかけ捕まえようと、どろだらけになりで夜中じゅう格闘していました。夜が明ける頃になると素手でそれをやっとかかえていて清々しさに慕っていました。家は半壊し弓稜の薄蒼い空が覗いていました、この時の濁流の匂いは今でも時々豊かな自然と触れた時に臭うことがある、生きものを分解したバクテリアの匂いです。この濁流の匂いが最も美しいと感じた瞬間でした。

これは、世界を変えたような一夜の出来事でした。

話が変なところに行って、何かとてもとりとめのない昔話で申し訳ない。

続きはまた明日送ります

 

2019年2月9日

保科豊巳

 

2月7日 曽根裕→保科豊巳

 

保科さんへ


(写真1,2,3,4,5,6,7,8,9)

2019年2月9日(2019年2月7日送付)

曽根裕

2月10日 保科豊巳→曽根裕 

 

曽根さんへ

 

えー、どこで燃やしてんのー、いまどこですか、

今は寒いから暖かいでしょうね

一番下のメキシコの写真まるで要塞のよう、この中にアトリエがあるんですか?

未来と古代が一緒になったみたいな町ですねー

高台から見た風景はとてもいいですねー、

日本とはまた違った視点が見えてくるのでしょうか、

曽根さんが火の写真を送って来たので一言、私の作品の火事は事件であると共に火事ではなく炎上です。

作品には背景があります、この事件は実際に私の故郷で起こした事件です。別に私が放火をしたわけではありませんが

あることがきっかけで火がついて一軒の家が炎上した事実です。これも人生での未分化な自分にとっては痛ましい出来事でした。

とても怖かったんですが、しかしとても炎に魅了された、

私はこれと同じ一軒家を再構築して同じ場所に再現して炎上させた。さらにこの炎の音を録音した。

作品はこれを再構築しています。現実という場所が大事なんです。

時間を超えて炎は今を見せてくれます。  

 

ところで古川が頑張って広報してくれています、

今私は入試に突入してしばらく忙しくしていますが少し広報で動きたいと思います。

​(写真9)

 

2019年2月10日

保科豊巳

2月11日 保科豊巳→曽根裕

 

曽根さんへ

 

本物にすれば社会を変えることができる。イベントにすれば社会を変えることはできない

 

2019年2月11日

保科豊巳

3月6日 曽根裕→保科豊巳


保科さん

 

今メキシコです。かえったら、5、6にんであつまり、流れに沿って、でここに分解しないようにあつまってはなしましょう
 

​(写真10,11)

2019年3月6日

曽根裕

3月6日 曽根裕→保科豊巳


保科さんへ

 

メキシコについてやっとぐしゃぐしゃになるまであせかいて作品つくって、つかれてねるんだけど、電気がないへあなので7時頃に寝ます。でまた朝がきて、太陽があがってきてぐしょぐしょに汗かいて。気持ちいいです。魚焼いて塩とライムとごはんでなにもしないでくらいところで息してるだけ、ひまとか、退屈、とかないです。そのうちねちゃう。でまたぐしゃぐしゃにつくる。

2019年3月6日

曽根裕

 

3月6日 曽根裕→保科豊巳

 

保科さんへ


(写真12)
 

こういうスタジオもあります。組み立てペイントスタジオです。

2019年3月6日

曽根裕

3月6日 保科豊巳→曽根裕

 

曽根さんへ


すごい!生きてる感じする!

2019年3月6日

保科豊巳

 

3月6日 曽根裕→保科豊巳

 

保科さんへ


(写真13)

この台座に作品

(写真8,14)
 

この絵でかいたような植物の作品をくっつけてしかもまわります(スピード調整可能)。完成したらまちのちいさなアミューズメンとパークを訪ねては作品を子供や大人たちに見せながら、ユカタン半島のオープンエアギャラリーにいきます。  

2019年3月6日

曽根裕


 

3月6日 曽根裕→保科豊巳

 

保科さんへ

(写真14,15,16,17,18)
 

(つづく)

2019年3月6日

曽根裕

3月10日 曽根裕→保科豊巳

保科さんへ

逆回しの旅 Gran Riverse

 

へび、鷹、葦、アカベ、湖、大きな石、大きな根っこ、広大な土地のうねり、カクタス、 インディオが飲む、チベットのちゃんに似た酒、高地に住むもののせいかつ。葦を編む忙し い手元とおおらかな生活。毎日の焚き火、ハニチオ島。黄色い太陽。聖なる山。夕暮れと焚 き火。タコス。炭酸水。音楽。暗闇。

煙の匂いと、セベロの妻がなにかを料理している音でゆっくりめをさます、屋上に閉じ込 められた犬が吠えている。半分くらい起きたけれど半分くらいまだねている状態でゆっくり、いまがはじまる。たいていの夢はそれ自身かなり意味のないものなので、最初にすることは というと、まだ楽しんでいるゆめをわたしの周りの人間に話さないようにすることだ、その 状態でタコスをたべて、インスタントコーヒーをいれる。長いゆっくりした制作ではとにかく一日一日をあまり数えないことがポイントなのだ。ミチョワカン王国がまだあったころの ことを思うのは、今晩のお楽しみにとっておくことにして。目が覚めてくる。 わたしは友人のセブロの村でその村のたくさんの人たちと、目の前にひろがる湖で取れる 葦を編んで、熱帯の植物の彫刻を作っている。 きょうはセブロとパブロが理解しやすいようにその植物の幹のドローイングを描く。 (ミチョワカン スタジオにて)

 

プロジェクト概要

 

わたし達はエルナン コルテスのメキシコ征服の最終地である旧ミチョワカン王国にあるわたしのスタジオに集まり、焚き火をすることから、この逆回しの旅を始めることになる。かれがこの地を征服するのにあたって旅したルートをさかさまにたどるのだ。

Eduardo Sarabia Rirkrit Tiravanija Tang Dixin Oscar Mulliro Yutaka Sone

ミチョワカンからメキシコシテイ。そこからユカタン半島への旅。ユカタンに行けばエドワ ルドのアトリエ、リルクリットの家がある。この旅でわたしたちはメキシコの広大な土地と 豊かな自然を再解釈し、どうじにユカタンのあと、キューバに行くかどうかなど話し合いな がら。そうしてわたし達はユカタン半島のオープンエアースペースで展覧会をつくる。それ から飛行機でアトランティックオーシャンをよぎって、 アントワープの南にある画廊でこの旅行の記録を編集する、旅で作った作品、映像を発表する。

Gran Riverse Produced by Jose Garsia, Mexico City and Tommy Simoens Antwerpen

 

文、曽根裕


 

Gran Reverse

 

Snakes, hawks, reeds, agave, lake, large rocks, large roots, vast and twisting land, cactus, the alcohol of the Indios that remind me of the Tibetan chhaang, the lives of those in high altitude. Busy hands weaving the reeds and laidback lifestyle. The daily bonfires, the island of Janitzio. The yellow sun. The holy mountain. The dusk and bonfires. Tacos. Seltzer water. Music. Darkness.

I wake slowly to the smell of smoke and to the sound of Severo’s wife cooking. A dog locked out on the roof barks. In a state where I am half awake and half asleep, time/the present slowly starts. Most dreams do not hold much meaning, so the first thing that I do is to keep those dreams that I enjoy to myself and not let others in on them. I eat tacos in that state, and make instant coffee. During long, slow work productions, the key is to try not to dwell on each day after day. I decide to save thinking about the time when the Michoacan Kingdom still existed for the evening. I wake up, slowly.

With the townsfolk in my friend Severo’s village, we weave the reeds gathered from the lake that rolls before us and make sculptures of tropical plants.

Today, I will draw a picture of the trunks of those plants for Severo and Pablo, so that they will understand my ideas.

(Written at Yutaka Sone’s Michoacan studio)

 

Project Overview

 

We will gather at my studio located in the former Michoacan Kingdom, Hernán Cortés’s last site of Mexican conquest, and build a bonfire and begin our reverse journey. We will trace backwards the route in which this land was conquered.

Eduardo Sarabia Rirkrit Tiravanija Tang Dixin Oscar Murillo Yutaka Sone

From Michoacan to Mexico City. And then to the Yucatan Peninsula. Eduardo has a studio and Rirkrit has a house in Yucatan. Through this journey, we will reinterpret the vast land and rich nature of Mexico, and at the same time, we will discuss the possibility of going to Cuba after Yucatan. We will organize an outdoor exhibition in the Yucatan Peninsula. And afterwards, we will cross the Atlantic Ocean by plane and have an exhibition in a gallery to the south of Antwerp

 

where we will compile and organize an archive, and exhibit works and screen videos made on this journey.

Gran Reverse produced by Jose Garcia, Mexico City and Tommy Simoens, Antwerp

Text by Yutaka Sone Translated by Renna Okubo


 

これがわたしが今進めているprojectのコンセプトです。

テキストと写真とかちょっと逆になったけどここまでが、まずわたしのメキシコでいまやっていることです。
 

2019年3月10日

曽根裕

 

3月10日 保科豊巳→曽根裕
 

なんか、うらやましい!体のど真ん中で受け止めている感じ!
そのグランリバーストラベルランド展てどんな展覧会ですか?

2019年3月10日

保科豊巳
 

3月10日 曽根裕→保科豊巳

保科さんへ

 

これから寝て起きたら東京へ戻ります。おやすみなさい。

移動に少し時間がかかります。東京についたら連絡します。

 

そこで保科さんグランリバース トラヴェル展へ参加してもらえないでしょうか?

毎日焚き火です!

2019年3月10日

曽根裕

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